三姉妹父さんのマネレッジ

Moneyにおけるknowledgeを貯めよう

『FIRE 最強の早期リタイア術』を読んで

こちらは中国の貧困層からカナダでエンジニアとなり、遂にはFIREを達成して今では旅する生活をしているクリスティー・シェンという女性と、その夫であるブライス・リャン氏の著書。中身は妻であるクリスティー・シェン氏の目線から語られています。

FIREに関する書籍はあまり読んだことがなかったので、図書館にて興味本位で手に取ってみました。妻には「既にしているのに?」と言われましたが…

とは言え、参考になった個所もありましたので、いつものように引用メモしていきたいと思います。

 心から好きなことをすれば、お金は後からついてくると期待するのは危険です。まずお金を追いかけましょう。好きなことはその後ででもできるのです。

P.58

昨今は「好きを仕事にする」ことが喧伝され過ぎている印象ですが、それはそれで成功できる人が少ないからこそ話題になっているということだと思います。反対に多数が「好きを仕事にしている」状態であれば話題にもならないことでしょう。とは言え、それでも勝手に好きなことをしてしまう人間の中から一握りの成功者が生まれるというのもこの世の摂理なのかもしれません。

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 2006年、ドイツの神経学者たちは側坐核に関するある実験を行いました。彼らがその実験で発見したことが、ヘドニック・トレッドミルの仕組みを解明してくれました。被験者は円や三角など単純なものを識別するゲームをするよう依頼されます。もし彼らが勝てば、1ユーロがもらえます。もし負ければ、何ももらえません。ゲームを始める前に、彼らには勝つ確率が教えられます。

 ゲームに勝ってお金さえもらえれば、被験者はご機嫌になると思っていませんか? 違います。fMRIを見ると、勝つ確率が高い(100パーセントなど)場合は、いくらゲームに勝っても側坐核ドーパミン受容体の活動は活性化されなかったのです。逆に、勝つ確率が低いとき(25パーセントなど)にゲームに勝つと、同じドーパミン受容体が急激に活性化されます。一方、勝つ確率が高い(75パーセントなど)ときにゲームに負けてしまうと、ドーパミン受容体の活動は低下してしまいます。

 側坐核は正の刺激だけではなく、その刺激への期待にも反応するのです。つまり、快楽は脳に放出されたドーパミンの絶対量ではなく、側坐核において期待した量と比較した相対量によって決まるというわけです。絶対ではなく、相対です。

P.83

いわゆる「快楽順応」についてですが、ただ慣れるだけではなく、期待との比較も影響されるという点が興味深いですね。つまり如何に期待をコントロールするかということが大事だということでしょうか。

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 欠乏マインドの教えとは、時間と健康を犠牲にしてでもお金を稼ぐというものです。お金こそが人生だからです。ただその教えがうまくいくのは、生き残ることだけを考えているときです。欠乏マインドの問題は、最終的な目標がないことです。もはや生存の危機にさらされていないときでも、オフにするスイッチがありません。必要以上に時間と健康を犠牲にし続けてしまうのです。人生のすべてのエネルギーを使い果たし、どこかのオフィスで亡くなったときが終着駅なのです。

 欠乏マインドは生き残るために人生のエネルギーを差し出すという考え方ですが、それがためこみマインドに変わると人は無駄なことにエネルギーを差し出してしまいます。ためこみマインドによって目の前でひとりの尊い命が犠牲になりかけましたが、私はその犠牲者にはなりたくありませんでした。

 その蟻地獄から抜け出さなければならなかったのです。

P.159-160

FIRE界隈では「One More Year Syndrome」などと言われているものですね。FIREができるくらいやり繰りがこなれてきますと、その効率性故に逆にそれを手放すことを惜しむ心持ちになってしまうということでしょうか。

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 オプティマイザーは執拗に支出を抑えて財産を築く人です。普通の仕事をして、そこそこの給与を稼ぎ、ほとんどの部分で一般的な生活を送っています。

 特異なのは使ったお金の把握の仕方です。自分が使ったお金を尋常ではない時間と労力をかけて1セント単位で把握しているのです。レジの人から「レシートはご入用ですか?」と尋ねられると、答えは必ずイエスです。そのレシートはファイルにきちんと収められ、スプレッドシートに記録され、不老不死の解明につながるかもしれない未知の微生物のように徹底的に分析されます。

 お気づきでない方もいるかもしれませんが、私は誇り高きオプティマイザーです。

 私たちオプティマイザーは「ケチ」というレッテルを貼られたり、しみったれた生活を送っているように見られると、非常に不快に感じます。私たちの頭の中には百科事典のように価格データが収められており、どうすれば半額でその食料品が手に入るのかがわかっています。つまり、私たちは少ない費用で他のみんなと同じ(もしくはより良い)人生経験ができる達人なのです。ブライスと私はいままで3年間ずっと旅を続けていますが、私たちのポートフォリオの金額はその間に減るどころかむしろ増えました。それがしみったれた生活に見えますか?

 ただ、私たちオプティマイザーにも弱点はあります。第一に、極度にリスク回避的な傾向があります。起業したり、夢を追いかけたりすることには向きません。

P.291-292

本書の中ではミリオネアのタイプとして他に、ハスラー(リスク志向であり、起業家的である。支出を抑えることにはあまり力を入れず、お金がなくなれば、もっと稼げばいいという発想の持ち主)や、投資家(成功している投資家は口をそろえて自分たちがやっていることはギャンブルではないと即答し、他人が見つけられないような優れた投資対象を見つけ出すスキルを備えている)に分類しています。

この分類の中では私もオプティマイザーに分類されるでしょう。レシートは確実に受け取りますし、スプレッドシートにも1円単位で記録しています(レシートは記録したら捨ててしまいますが)。それに食料品の値段も百科事典のごとく把握していますし、弱点も指摘の通りですから。