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『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』を読んで(1/2)

こちらは日本でも40万部を超えるベストセラーとなった前著『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』の続編で、ロンドン・ビジネス・スクール経済学教授である、アンドリュー・スコット氏と、ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授であるリンダ・グラットン氏の共著。

ざっくり述べると前作では、人生が100年時代に突入していることを知らしめましたが、今作ではその100年時代における行動戦略を個人、他者との関係性、企業、教育機関、政府というレベルでそれぞれ提言していくという内容となっています。

その中で、個人的に気になった点をいつものように引用メモしていきたいと思います。

長期の視点をもつことは誰にとっても難しいが、ある種の局面では、目の前のことだけを考えようという衝動がとりわけ強くなる。たとえば、家賃の支払い期限が過ぎているのに、給料日はまだ1週間先という状況では、「ものごとを長い目で見なさい」という助言は的外れというほかない。

P.82

ハーバード大学の経済学者センディル・ムッライナタンとプリンストン大学の心理学者エルダー・シャフィールが指摘しているように、重要な資源が不足していると、その不安に思考を支配されて、直近のことしか考えられなくなる場合がある。この「トンネリング」と呼ばれる現象により、人はしばしば劣悪な意思決定をくだし、将来そのツケを払わされる羽目になる。

P.82

まさに「貧すれば鈍する」ということのようです。

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職業人生が長くなっても、子どもが赤ちゃんの間に一緒に過ごせる週末の回数は増えないが、生涯の間に仕事のイベントや打ち合わせに費やせる週末の回数は確実に増える。その結果、赤ちゃんと過ごす時間の価値が相対的に高まるのである。仕事の会合に出席する機会は、その後の人生でもいくらでもある。マルチステージの人生で時間の使い方を再配分する上ではこうした変化が大きな意味を持つ。

P.86

これは、前段で自分が大学教授だとしたときに、週末のセミナーへの出講依頼が来ており、片や生後3ヵ月の赤ちゃんがいる場合において、セミナーの報酬を取るか、託児サービスに預けるか(セミナーの報酬の方が十分に高い)どちらを選択するかという、仕事の時間と家庭の時間の直接的なトレードオフの問題が提起されています。

私が一旦セミリタイアした理由の一つが、まさに子どもらとの時間に制限があるからです。また時間だけではなく、精神的なリソースの配分も家族に振り向けたいという意図がありました。と言っておいて、子どもらがずっと家にいたらどうしましょうか…。

長寿化に対処するために、政府は公的年金の受給開始年齢を引き上げていくだろう。イギリスの場合、1920年代の年金受給開始年齢は、男性が65歳、女性が60歳だった。1995年、政府は性別による差をなくす方針を打ち出し、女性の受給開始年齢を段階的に引き上げた。そして、2019年、2044年から2046年までの間に男女ともにこの年齢を68歳に引き上げることを発表した。

イギリス政府は、将来の平均寿命がどのくらい上昇した場合に、年金受給開始年齢がどのように変わるかという指針も示している。それによると、今後、年金受給開始年齢が10年間で1歳以上のペースで引き上げられることはなく、成人後の人生の3分の1の期間は年金を受け取れるようにするとのことだ。

P.104

セミリタイア者にとって、インフレと年金改革(改悪)は影響が大きいものと思われます。年金を当てにせずにライフプランを立てられれば心強いのですが、収入として大きな割合になることが多いこともあり、我が家では現状の年金制度を前提にライフプランを立てています。一応、その分他のところでバッファを持たせてはいます。

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1992~2010年に引退した3000人近くを対象に、引退した年齢(65歳、67歳、70歳、72歳)ごとの死亡率の推移を調べた研究がある。それによると、引退年齢が高い人ほど、長生きする傾向が見られた。67歳まで働いた人は、65歳で引退した人に比べて67歳時点での死亡率が20%以上低かった。70歳まで働いた人は、65歳で引退した人に比べて70歳での死亡率が44%低く、72歳まで働いた人は、65歳で引退した人に比べて72歳での死亡率が56%低い。

P.105

最近、引退後も「働いた方が健康に良い」という定説について、統計を調べて逆の結果が出たという話がありました。でも、よく考えれば引退したかどうかではなく、働いていようが、引退していようが、どう過ごしていたかという中身が重要だと思われます。

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は、人間について驚かされるのはどの点かと尋ねられて、こう述べたことがある。「人は金を稼ぐために健康を犠牲にし、健康を取り戻すために金を犠牲にする。また、未来を心配しすぎるあまり、現在を楽しめない。その結果、現在を生きることも、未来を生きることもできなくなっている。そして、自分の命が永遠に続くかのように日々を漫然と生き、真の意味で生きることがないまま死んでいく。ダライ・ラマにとって、金と幸福は関係がないものなのだ。

P.115

お金を稼ぐために健康を犠牲にする点については、会社員時代理不尽な上司や顧客により鬱になるケースを多く見て実感してきました。また、未来を心配しすぎる点については、今や子ども時代から刷り込まれている病であるように思えます。