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『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』を読んで(2/2)

こちらは日本でも40万部を超えるベストセラーとなった前著『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』の続編で、ロンドン・ビジネス・スクール経済学教授である、アンドリュー・スコット氏と、ロンドン・ビジネス・スクール経営学教授であるリンダ・グラットン氏の共著。

その引用メモの続きです。

その際にカギを握るのは、年齢を重ねるにつれて強化されるタイプの知能、すなわち結晶性知能を最大限活用することだ。具体的には、結晶性知能が求められるような仕事を探せばいい。

P.153

結晶性知能とは、個人が長年にわたる経験、教育や学習などから獲得する、言語能力、理解力、洞察力といったもので、それと対となるのが流動性知能といって、新しいものを学習し覚えたりする能力とのことです。

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人生の晩年の重要性を考えるうえでは、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンらの研究が参考になる。その研究では、実験参加者を2つのグループにわけ、いずれのグループにも14度の冷水の中に60秒間、手を入れさせた。そのあと、片方のグループには、ただちに手を水の外に出させ、もう一方のグループには、さらに30秒間、手を水の中に入れさせて、水温をゆっくり15度まで上げていった。すると、後者のグループのほうが実験参加者の満足度が高かった。不快な状態が長く継続するものの、最後に状況が改善するからだ。

カーネマンらが指摘しているように、「ある出来事に対する人の評価は、その出来事における最悪の経験と最終の経験に多い左右される場合が多い」のである。この点を考えると、よい人生を生きられたと思えるかどうかは、最晩年の経験によって決まる面もあると言えそうだ。「高齢者にとっては、いつ、何が原因で死ぬかも重要だが、最大の関心事は、どこで、どのように死ぬかだ」と、老年学者のアンドリュー・エルダーは述べている。人生の終わりの日々は、きわめて重要な意味をもつのだ。

P.158-159

私自身はどのように死ぬかということについて、死んだ時に誰にどう思われたいのかを踏まえて、人間関係を考えるようにしています。

想像どおりというべきか、世代間の違いをテーマにした多くの研究結果をメタ分析した研究によれば、実は世代間に際立った違いはほとんどないという。むしろ、ミレニアル世代内の価値観や行動パターンの違いのほうが、平均的なミレニアル世代と平均的なベビーブーム世代の違いより大きい場合もある。私たちは、どの世代に属するかという以前に、同じ人間なのだ。

P.202

まさに同世代でもセミリタイアするなど考えられないという友人もいます。世代というような集合体的な個人は存在しませんし、集約すればするほど角が取れてしまうということでしょう。

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もうひとつ重要なのは、国民の寿命に関して政府がもっと現実的な見方をすることだ。現在、世界の国々の政府が平均寿命のデータについて国民に伝えている内容は、概して今後の平均寿命の延びを過小評価している。それが国民の準備不足を助長していることは否めない。政府が平均寿命の予測を示す際は、たいてい「ピリオド平均寿命」を用いる。たとえば、イギリス政府はこの手法に基づいて予測をおこない、現時点での出生時平均余命を男性は79.2歳、女性は82.9歳としている。

こうした政府予測の数字がもつ影響力は大きい。しばしばメディアで話題になるし、政府の報告書などでも大きく取り上げられる。大半の国民が意識するのもこの数字だ。しかし、最も妥当な予測は、これとは別にある。「コーホート平均寿命」のほうがはるかに有益なのだ。コーホート平均寿命を見ると、イギリス人の出生時平均余命は男性が89.6歳、女性が92.2歳となる。つまり、ピリオド平均寿命で予測した場合に比べて、人々が準備しなくてはならない人生の年数が10年延びるのだ。

P.310

ピリオド平均寿命は2019年に生まれた子どもが、2019年の医療水準のまま生涯を生きると仮定し、コーホート平均寿命は時代をくだるにつれて死亡率が低下することを前提にしているとい違いのようです。

社会の高齢化の度合いを表現するために用いられてきた重要な指標のひとつは、老年従属人口指数だ。これは16~64歳人口に対する65歳以上人口の割合である(65歳はこれまで一般的に退職年齢とされてきた年齢だ)。この指数は、年金受給者1人を何人の現役世代で支えているかを大ざっぱに映し出す数値と言える。

現在、世界の老年従属人口指数は約0.25。つまり、4人の現役世代で1人の年金受給者を支えている計算だ。2100年には、この値が0.5に上昇すると予測されている。日本など、一部の先進国にいたっては1.0に達する見通しだ。この場合、現役世代1人で年金受給者1人を支えなくてはならない。老年従属人口指数の上昇は、これまで社会の高齢化について語られるストーリーの中核を成してきた。このデータを基に、経済成長の減速と政府債務の増大が避けられないと懸念する声が高まっている。

しかし、老年従属人口指数を経済分析の土台とすることは、もうやめるべきだ。理由は3つある。第一に、この指数は65歳未満は全員働いていて、65歳以上は全員が職に就いていないという前提に立っている。これは、明らかに事実に反する。第二に、高齢者が若い世代に依存しているという考え方も正確さを欠く。今日の経済では、高齢者の支出、言ってみれば「シルバー・マネー」が雇用の創出を支えるうえで大きな役割を果たすようになっている。第三に、若い世代が高齢者を支えるのは、社会における支えあいの自然なサイクルの一部と見るべきだ。現在の高齢者が過去に納めた税金により、現在の現役世代が子どもの頃に受けた教育や医療のコストがまかなわれたことを忘れてはならない。

P.312

寿命の延伸により過去の年齢区分が急速に合わなくなってきているということかと思います。私もバカボンのパパの年齢近くになってきましたが、さすがに同年代には見えないと思います。多分…。