こちらはNHKで放送された「『幸福学』白熱教室」の内容を再構成した書で、そちらにおいて気になった所の引用メモです。
倫理的というか、法的義務でお金を使うことでも幸福感につながるのですか?
いい質問ね。確かに習慣でお金を払っているときに、気持ちが高揚するとは考えにくいでしょう。私が息子にベビーフードを買っても、「この子のために食べ物を買ってあげたわ。私ってすごい!」という気持ちにはならないわ。幸福感を得るには、もう少し本人の積極性が必要でしょうね。
いくつかの研究では「強制されていると感じずに他者のためにお金を使ったとき」こそ、最も大きな幸福感が得られる、という結果が出ています。長い時間軸で見れば、人間はお互いに助け合って生きてきたわけです。
また、他者のために自発的に何かをした人は、その日、機嫌がよくなることがわかっています。しかし、人助けを強制されたときは、むしろ逆に機嫌が悪くなってしまうのです。
P.91
「他人に何かを分け与える行為は人を幸せにする」という文脈の中での話ですが、「自発的」な動機が重要ということのようです。
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ここに出てくる「説明スタイル」とは、幸福学研究の第一人者、ペンシルバニア大学のマーティン・セリングマン博士が唱えたポジティブな考え方を鍛えるトレーニングのことです。
楽観的な人と悲観的な人では、物事の説明の仕方がまったく正反対になることに気づいたセリングマン博士が、幸福度を上げる手法に応用したものです。悲観的な説明方法を楽観的な方法に意識的に修正することで、幸福度が変わってくるとされています。
たとえば、1杯のコップに半分のジュースが入っているのを見たとき、「半分しかない」と悲観的にとらえるか、「まだ半分もある」と楽観的にとらえるかで幸福度は変わってきます。
もし何かつらいことが起きたとしても、「それは長く続くものではないし、頻繁に起きることでもない。また、自分だけにおきることでもない」と楽観的に自分に説明してみます。
出来事のとらえ方を再構築することで、心の変化を促すことができるといいます。これはスポーツの練習のようにトレーニングを繰り返すことで向上していきます。
P.151-152
トレーニングを繰り返すことで向上できるようなことであれば試してみるしかないですね。
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ここで、恋愛に関する面白い研究があるので、皆さんにご紹介しましょう。研究のタイトルは「物事がうまくいったとき、あなたはそばにいてくれますか?」というものです。いい恋人とは、「物事がうまくいかないときにこそ、そばいにてくれる人」だと、誰もが思いますよね。でも研究で明らかになったのはその逆のことでした。
たとえば何かいいことがあってそれを恋人に自慢したとします。「仕事で昇進した」とか、「テストでいい点を取った」とか。うれしい出来事を恋人と共有し、成功を喜び合いたいと思ったとき、相手が関心を示さなかったカップルは、別れていたのです。物事がうまくいったときにサポートしない、サポートされない経験は、破局の予兆という結果が出ています。
うまくいかなかったときだけ支えるのは間違いです。結婚生活を長く続けている私が恋愛のアドバイスをするとしたら、こう言います。
「恋人によいことがあったら、一緒に喜んで、最高にうれしがらせてあげなさい」
そうしないのは、必死に救いを求めている恋人を助けないのと同じなのです。
P.195-196
これは恋人に限らずだと思いますが、意外と一緒に喜んで、最高にうれしがらせてあげるということというのは、深刻な話でない分、手を抜きがちであったりする気がしました。また、そういう時に余計な一言を言って逆に冷めさせてしまいがちなので気を付けたいと思います。