投資家界隈ではリスクを厭わずに、フルインベストメント状態にある投資家さんがいるようです。我が家についてはそこまで投資比率は高くはなく、すぐに懸念となるワケではありませんが、一端の投資家として相続時のリスクについても考えを巡らせておきたいと思います。
まず、存命中におけるフルインベスメントのリスクと、相続時におけるフルインベスメントのリスクは異なります。
相続発生から相続が完了するまでは通常でも数か月以上は掛かるものです(我が家の場合は半年以上掛かりました)。その間、投資された資産は市場にさらされるがままとなり、何が起こっても誰も対処することができません。にも係わらず、相続税評価額は相続発生時に確定してしまい、10か月以内に強制的に現金が必要な事態を迎えます。そして、この現金を用意するのは被相続人になります。
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ではそんな中、相続時のリスクが顕在化するのはどのような場合でしょうか。
例えば、相続人は父、被相続人が子一人のようなケースで、少々極端ではありますが相続財産は投資信託3億円のみといった場合を考えてみましょう。
基礎控除は3,000万円+600万円×1で3,600万円となり、それらを差し引いた課税遺産総額は2憶6400万円です。
この場合における相続税率は45%(控除額2,700万円)ですので、2億6400万円×45%-2,700万円で相続税は9,180万円になります。
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子どもがこれだけの現金を持っていない場合は、相続した投資信託を売却して工面することになります。
しかし、相続発生から相続完了までの間に株式市場の大暴落や天変地異等が発生し、投資信託の評価額が半分(3億円から1.5億円に)になってしまったとしましょう。
仮にこのような事態になってしまいますと、相続税を支払った後に残るのは5,820万円分の投資信託ないし現金ということになります。
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これが投資信託ではなく3億円の現金を相続した場合であれば、相続税を支払った後でも2億円以上の現金が手元に残っていたことでしょう。
これは極端な例かもしれまんせんし、逆に投資信託の評価額が増えることもあるとは思いますが、この強制的に現金が必要な状況を見越したリスク資産と安全資産の比率を考えるということも必要(になるといい)かなと思った次第です。